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弓で再会


高校部活動以来、20年ぶりに弓を触らせてもらった時胸の中があたたかくなった感覚は忘れません。

昨年、ある大会に行きました。近県の人が参加するもので、多くの弓人が集まる試合でした。開門を待っていた時のことです。目があった女性が、笑みを浮かべて小走りで近寄ってきます。 私に向かって来るのを感じながら、その人の顔も名前も思いつきません。「こんにちは、せんぱーい」と、もう相手の声のトーンは興奮ぎみに高くなっていました。 旧姓を名のってもらってパッっとよみがえった記憶・・・。高校生だった時の顔。あーこの声、この口調だ。いっしょに部活動でがんばった後輩です。 弓のおかげで25年ぶりの思いがけない再会!話してみると、彼女も20年ぶりに弓を引きはじめたとのことです。 この日の成績は予選落ちでしたが、サプライズの再会は、特別賞を獲得した気分です。

再会から一年。今年も同じ大会で会えることを楽しみに出かけました。・・と、またおどろきです。高校の弓道部顧問だった先生が目の前の審査員席にいらっしゃったのです。 まさか、再び先生の前で弓を引くとは思いませんでした。弓を引き終えた者が審査員席に視線を移してあいさつするのは、射場を出る前の一礼です。先生と目が合いました。 (退場まで見ていただけてうれしいことです)その一瞬、先生の声が聞こえたような気がします。「そっかー、弓、続けていたか〜」と。 すると感謝の気持ちと涙が同時にあふれていました。

長い時間、弓から離れた分再び弓を引けるようになったうれしさを感じています。そして続けていられることもうれしいです。

朝霞で弓を再び引きはじめ一番うれしいことは、人との出会いです。地元の人と出会えます。そして少しづつ人のつながりは広がります。

弓を引くことは、はじめから最後まで自分自身の動作で相手のあるものではないけど 弓道は・人から教わり・人から得て・人から学ばないと技術も心も上達しないのだと思います。

出会う、どの人にもいい魅力があります。「またいっしょに弓を引くことができましたね」またお話したいし、また会いたいし。出会いはお互いにとって、 教材になっているかもしれません。

文:太田 昭子

※「スポーツあさか」第28号(2006年11月/朝霞市体育協会)掲載

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